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滝のような雨が降った栃木県で、車が路上で水没し、閉じ込められた女性が命を落とした。増水した川では小学生ら5人がのみ込まれ、マンホールの中では作業員が流された。

 どれも、この夏の出来事だ。

 1日は、関東大震災の日に合わせて「防災の日」と定められている。その日を、今年は豪雨災害の記憶が生々しいなかで迎えることになった。

 日本列島は、天災列島だ。世界で起こるマグニチュード6以上の地震の2割は日本を襲う。火山も噴火するし、台風の通り道でもある。

 天災の犠牲者の数をみると、1950年代は、死者や行方不明者だけで千人を超えた年が多かった。

 犠牲者が減る転機となったのは、59年の伊勢湾台風だった。大きな被害を目の当たりにして防災体制を整えようとの声が高まった。2年後には災害対策基本法ができ、政府や自治体が力を入れて取り組み始めた。気象観測の設備がよくなったことなども効果を上げてきたといえよう。

 犠牲者の数は、阪神大震災が起こった95年のような年は例外としても、ここ10年は年平均120人ほどになっている。ただ、ほとんど横ばいの状態が続いている。再び犠牲者を減らす流れをつくるにはどうすればいいか。

 そのかぎは、お年寄りをはじめとする災害弱者を救うことである。

 先月の豪雨では、愛知県内の住宅が天井近くまで浸水し、76歳の女性が亡くなった。昨年の新潟県中越沖地震でも、犠牲者の多くはお年寄りだった。

 刻々と変わる気象情報、天災に見舞われたときの警報や避難勧告など、これまで被害を減らすことに役立ってきた情報が、すべてのお年寄りに十分行き渡っているとは言えない。

 全国に独り暮らしのお年寄りは約400万人もいる。災害のとき、自分だけで素早く避難できない人も多い。逃げるときに、手助けが必要な人の名簿づくりなどを自治体が進めてはいるが、個人情報保護との絡みがあって進んでいない地域もある。

 しかし、政府や自治体の施策だけを頼りにしていては効果に限界がある。

 取り残されがちなお年寄りがどこにいるのか、自治会などでふだんから気を配ることが欠かせない。お年寄り本人やその家族も、不安があるなら遠慮せずに、近所の人にあらかじめ声をかけておけるような関係を築いておきたいものだ。

 もちろん弱者を手助けするには、まず自分の安全を確保しなければいけない。災害時、身の回りにどんな危険があるかをこの機会によく確認しておきたい。

 死者・不明者が10万人を超えた関東大震災から85年。災害犠牲者を一人でも少なくする道に終わりはない。


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